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11月13日(土)から20日(土)まで加藤キナ個展「山姥~秋冬」を
1Fギャラリーにてご紹介いたします。
2019年開催の「夜の森」から2年、前展からの続きの物語の始まりです。

秋はさやけき 影を尋ねて
月見る方にと 山めぐり
冬は冴えゆく 時雨の雲の
雪をさそいて 山めぐり
       (能「山姥」より引用)

季節そのものであるかのような世阿弥の「山姥」からの美しい一節。
私たち人間もまたその自然の一部であり、
この手が生み出す物は循環できるものでありたいと希います。

カサコソと落ち葉たちの声を聴くように、
木の実や根から頂いた色でふっくら白い鹿革に色を差す。
鹿たちが口にしたであろう山の色で、
次第に染まりゆく姿は実に無理がなく当たり前のことと感じます。

こちら側の都合を押し付けるのではなく、鹿自身の個性を尊重した大らかな鞄。
くるくると丸められ直接肌に触れることで、そのしなやかな柔らかさを感じて頂けます。
天然素材にこだわったいずれはきちんと土に還っていくことが出来る
「ゆきさき」を考えた形です。

鹿と自然と呼応しながらゆっくりと深まっていく鹿革への理解、
新たな試みをご覧頂けましたら幸いです。   加藤キナ

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鹿革のコサージュ

細かな観察と植物を愛する気持ちが伝わってくるキナさんの植物たち。
牧野富太郎の「私は植物の愛人として生まれてきた」という言葉が
頭に浮かびました。



鳥のマグネット(6羽セット)
飛行ルートは気分次第、群れから外れるマイペースな鳥も中にはいるでしょうね。

「鳥のマグネット」完売していますが、ご注文お受けできます。









時間帯やその日の天気、見る人の心理状態によっても
パネルの景色の見え方は違ってくるでしょう。
まるで抽象画のような鹿革のパネルです。

以下は加藤キナさんから「鹿革パネル」のお話し。


「鹿革パネル」

今回初めての試みとして、鹿革のパネルを作りました。

素材としたのは、鞣し屋さんも頭を抱えてしまうような、多くの傷が残る革。

自然の中でついた傷、座った時の坐りだこ、勇敢に戦った牡鹿の大きな角の傷。
そして、私たち人間がつけた命を止める刃物傷。

朝の日課、向かった机で磨る墨。
故郷の母が作る干柿の、夏に摘果された小さな青柿から作る柿渋。
クチナシやヤシャブシ、山の木々の色も頂いて静かに染めていきました。

染める際、刷毛に自分が乗らないように。
鹿がなりたい色に、少しずつ少しずつ。

傷はいつしか模様になり、柔らかな光を湛えた大きな空や湖、
三日月が昇る冴え冴えとした夜空へと変わっていきました。

鹿が決めた大きさ、鹿が決めた色彩、鹿が見たであろう景色。
作らずにはいられなくて、ただ黙々と刷毛を動かし続けた日々。

どなたかの目に何かの景色が映ったとしたら、どんなにか幸せな事と思います。




長財布 鹿角付き三つ折「クジャクの羽」




琥珀と貝で表現した月の満ち欠け。

長財布 水牛角付丸「月」



長財布 薄型角 黒/鹿角細工「六花」




左上から
長財布 ラウンド 黄部分モザイク
長財布 薄型丸 赤黒
長財布 三つ折 黒モザイク


今展では上記の鹿革財布のご注文制作も承っております。
ご注文制作では鹿革見本からお好みのものをお選び頂けます。
納期は2022年3月を予定しています。

またTOUBOKKAの「鹿角細工」のご注文制作も承ります。
「クジャクの羽」「月」「六花」のほか、お客様のご要望に応じた
モチーフをご相談しながらお作りいたします。

「鹿角細工」は長財布とミニ財布にお付けできます。
価格の目安、納期についてご興味がある方はお尋ねくださいませ。




ミニ財布 二つ折薄型丸 赤黒/青黒



カード入れ(4枚)




コインケーススクエア ピンク/黄/茶/黒
スマートカード入れ ピンク/黄







「ゆきさき」を考えた形

今展示会のテーマである「山めぐり」は、自然から生まれた木々や生き物たちが
命を全うし、からだが朽ちてもまた再び、そこから新たな命の輝きが生まれる、
永遠に続いていく命のバトン。

私たち人間もその美しい自然の一部であるならば、この手が生み出すものは、
やはり自然に対して無理をしいることなく、きちんと戻していけるものでありたい
と希いました。

素材としているのは、日本各地で山や畑を荒らし増えすぎてしまったと
駆除される野生の鹿たち。
野生の持つ強さに合わせられるよう今までの考えを一度まっさらにし、
カバンの原点とも言える形を選びました。

ごくシンプルなたった一つの型紙を用いて、鹿それぞれの個性に合わせる。
最初に出来上がりを決めてしまうのではなく、頭で考えるのではなく、
手と革が会話をするように。

出来上がった9つのトートバッグは、大らかでしなやか。
持った時にすべてを受け止めてくれるような軽やかさを感じさせます。

鹿革と麻布、デンプンのり、天然素材で作られた、
土からのものを土にきちんと還せるかたち。


展示会ではこの「ゆきさきトート」のご注文を承ります。
ギャラリーには見本の革をご用意しております。
持ち手の長さや内布の色など、お話を伺いながらお作りする受注形式で
多くを作りすぎず、必要な分を必要な方の元にお届けいたします。

ご相談のある方はぜひ作家在廊日にお越しくださいませ。

「ゆきさきトート」
縦タイプ/四角タイプ/横長タイプ




枯葉のリースはハラハラと宙を舞うモビールやフレームに姿をかえて。
風に揺れるリズムはカサコソと落ち葉たちの音楽を聴くようです。

モビール「銀杏」/秋の葉/ガラスフレーム



「銀杏の若木」
あれは5月頃のことだったか。
いつも手水鉢に水浴びに来るメジロが覗き込んだまま悲しげに首を傾げています。
どうしたかしらと庭に出てみると、水を湛えていたはずの手水鉢はドロドロの紫色に。

さてはそこらで遊んでいる子ガラスか、オナガたちの仕業だな。
ざぶんざぶんとお玉で水を掬い、ほったらかして数ヶ月。

謎の木の実から、何やら芽がニョキニョキ。
もう数ヶ月すると、あらあら見たことのある葉の形に。

一本静かに根を掘り出すと、一粒のギンナンから小さな銀杏の赤ちゃんが。

見渡す限り銀杏の木はないし、一体どこから運んできたのだろう。
それにしても不思議で、面白い銀杏の若木の話。

秋冬に色づいた葉はひらひらと地面に帰り、
土をほくほくと温めてまた新しい命が生まれる。

このキナさんのお話の元の「銀杏の若木」もギャラリーに来ています。

若葉(銀杏)キューブ




渡り鳥たちの飛来。季節の移ろいを知らせてくれます。

モビール「鳥の歌」 鳩/白鳥/燕



モビール「サイコロ」